訪問看護ノート 1999.2.18/cn19990218-1 五十嵐 直敬 POSの基礎 1.POSとは  1)意味    Problem Oriented System: 「問題志向型システム(記録)」    治療や看護の対象となる、健康上の問題を焦点として行う医療記録の方法    PONR:Problem Oriented Nursing Record/POMR:Medical〜  2)目的    クライアントの健康上の問題を明確に捉えること    健康問題を科学的に分析し考えること(を助ける)    事実と、考えたことを正確に記録すること  3)構成   a)問題志向型記録     健康問題を明確にするために工夫された記録の方法   b)監査     問題志向型記録を利用して、行った治療や看護の結果を査定する   c)修正     監査の結果に応じて、治療や看護の有り方をより良く修正する 2.看護過程  1)意味と意義    物事を行うこと = 一連の思考と行動の流れ    > 看護もあるパターンがある    看護に特有の行動のパターンを意識することで、より効果的に看護を行える  2)看護過程=看護の基本パターン    必要な情報の収集 > 健康問題の認識 > 対策=看護計画の検討    > 対策=看護行為の実施 > 看護行為の結果の査定 (>始めに戻る)  3)POSとの関係    看護過程を意識することで、過程の各時点で記録するべき事が明確になる 3.問題志向型看護記録 PONR  1)特徴   a)健康問題ごとに記録     従来の医療記録は、時間を追って出来事を書いていただけ     > 何が大事なことか、何がどうなったか、どうすれば良いかが分かりにくい     治療や看護は、健康問題それぞれに対して行われる     例: 癌ができた > 手術して取る / 熱がある > 解熱剤と氷枕     記録も健康問題それぞれに対して行えば、それぞれの出来事が分かり易い   b)事実(情報)と思考を明確に分離して記録     病気は物理的現象 > 科学的に理解し解決可能な現象     科学的に考えるためには情報が必要     情報 = 伝えられた事実 = 誰が見聞きし感じても同じ     情報をもとにして思考が生まれる     思考は人それぞれ違う より良い考えは常に生まれる可能性がある     > 同じ情報を手に入れても、医師やナースにより考え、行動が変わるかも     > 誤った思考結果を情報と捉えると、その後の思考も誤ることになる     正確な情報を皆に伝え、より良い考えを得るために、情報と思考を分離する   c)主観的情報と客観的情報を区別して記録     情報は入手経路が2つある     > 自分が見聞きし感じたこと 他人が見聞きし感じたこと      自分が見聞きし感じたことには自分の主観=思い込みが加わる      > 科学的には信頼性が落ちる      他人が見聞きし感じたことは、思い込みが入りにくい      =という前提にする < 医師やナースは専門家だから  2)構成   a)データベースとアセスメント database     クライアントについての情報を収集し記録する     情報に基づいて何が健康上の問題かを考え記録する   b)問題リスト problem list     データベースからアセスメントした健康問題を列挙し記録する     解決すべき健康問題が一目瞭然に示される   c)看護計画 nursing plan     問題リストに挙げられた各健康問題毎に、解決のための対策を考え記録する     観察、ケア、指導教育 などの看護活動が計画される   d)経過記録 progress note     クライアントの状態や看護活動の事実を記録する     情報と思考を整理するための記載方式がある   e)看護総括 summary     看護の結果についてのまとめ 一定期間ごと、退院時などの節目で記録する     情報伝達、看護の評価の場、看護のための資料としての役目がある 4.経過記録の方法  1)SOAPノート    経過記録は、ケアした時点について情報と思考を明確に区別して記録する   「こうだから、こう考えて、こうする」と記録する   S)subjective data (クライアントにとって)主観的な情報     クライアントが見聞きし感じて、ナースに言ったこと   O)objective data (クライアントにとって)客観的な情報     ナースが観察したこと、調べたこと、検査結果、主治医などからの情報   A)Acessment アセスメント(査定)     ナースが考えたこと 情報をもとに医学的・看護学的に分析・検討したこと     クライアントの状態、ニード、必要なことについて考える   P)Plan 看護計画     アセスメントの結果、クライアントに提供するべきと考えた看護活動  2)SOAPノートの弱点    実際に行った看護活動について記録する項目がない!    便宜上 P)に書くことが多い ≒ 計画したことは実行したこと と扱う    doの意味で D)などとしたりもするが、勝手に項目を作ると混乱のもと 5.POSの利点と弱点  1)利点    クライアントにとって解決するべき健康問題が「最初は」分かり易い    事実の情報と思考が分離され、情報を他人が再利用し易い = 情報共有できる    長期的に構えてじっくり問題に対処する場合に使い易い  2)弱点    約束事が多く、通常の「出来事を話す」思考の感覚と違い困惑することが多い    実際の看護が実践活動中心なのに対して、思考過程が中心なので違和感がある    だんだん記録が見にくくなる 特に問題リストと看護計画    短期的、突発的な問題の記録に対応しにくい 以上