私たち生命体の体は、体を作る細胞の骨格や、代謝を行う酵素、細胞同士が連携するための情報伝達物質など、タンパク質を素材として作られています。そしてこれらのタンパク質自体も、細胞の中のタンパク質によって作られます。
これらのタンパク質を作る設計図であり利用マニュアルとなるのが、遺伝子です。
遺伝子は必要な時に必要なものだけが、秩序正しく順番に働きます。例えば筋肉では細胞が筋肉に成り働くために必要な遺伝子(たち)が、肝臓では細胞が肝細胞に成り働くために必要な遺伝子(たち)だけが働きます。
もし「必要な時に必要な所で必要な遺伝子が働く」仕組みが狂うと、癌などの疾患になります。もちろん、必要な遺伝子が無くても疾患になります。
ここで、これからの遺伝子治療や再生医療にとって重要なのは、「遺伝子は単にスイッチのようにON/OFFしているだけではない」ことです。BGMのボリュームのように、場面に合わせて、遺伝子の働きはきめ細かに「音量調整」もされています。
この、遺伝子の働きを調節する仕組みは、まだ分からないことが多いのが現状です。2000年秋の「ヒトゲノム解読」は単に「知らない言葉の本を書き写した」だけで「意味を解読した」わけではなく、これからやっと遺伝子の働きを「読解」する所なのです。遺伝子解読は、ただの始まりにしかすぎないのです。
遺伝子は、働く時には、RNA:リボ核酸と呼ばれる「設計メモ」としてコピーされ、核の外にある「リボゾーム」と呼ばれる分子の工場に運ばれます。この遺伝子情報を伝えるRNAをメッセンジャーRNAまたは伝達RNA(mRNA)と呼びます。
リボゾームに「原料」を運ぶためのRNAもあり、トランスファーRNA(tRNA)または輸送RNAとも呼ばれています。tRNAは、タンパク質の原料になるアミノ酸をタンパク合成工場であるリボゾームに運びます。
そしてリボゾームがRNAを読んで遺伝子の指示通りにタンパク質を作り、そのタンパク質が細胞そして生命体を作るのです。
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