tulipコラム「遺伝子治療は危険思想?」

Update: 20 Aug. 2003, Thanks!
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 機動戦士ガンダムの新シリーズ、「ガンダムSeed」が放映されています。その中では、私たちと同じ「普通の人類・ナチュラル」と、「遺伝子操作(恐らく生殖細胞操作)されて生まれ優れた性質を持った新人類・コーディネイター」が対立し戦争する、という世界が描かれています。

 「自然なままの」人類ナチュラルは、病気にならない・背も高い・知能も運動能力も高い「優れたところばかり」のコーディネイターを、自分たちを脅かすものとして敵視しています。
 しかしそもそも「遺伝子操作し優れた性質を持った新人類・コーディネイター」を生んだのは、「自然な人類」が、病気にならない・背も高い・知能も運動能力も高い「優れた性質」を欲しがり・あるいは子に望み、受精卵に遺伝子操作を施したからでした。これは一種の優生学的思想とも言えます。

「優生学」とは、「優れた性質を持つ人間、子孫だけを残す。他は生存させない」という思想です。「学」と名は付いていますが、その実体は、極めて危険な差別思想です。
 かつて、ナチス・ドイツは、この優生学を自分たちに都合よく解釈し、「ドイツ民族は人類の中で最も優れるので世界を支配するべきだ。ユダヤ人は劣悪なので排除すべきだ」として、ユダヤ人虐殺に及びました。

 一方で、私たちの日本でも、優生学的思想は、実は存在します。
 胎児を中絶できる、という法律があり、毎年沢山の胎児が中絶され「殺されて」います。実はこれも、一種の優生学的思想なのです。
 ただ、もし子供が生まれたら、母親の体も危ないような場合、また親子ともども生活できなくなり死んでしまうような場合。本来、妊娠中絶は、そのような場合に「今すでに社会生活している親を優先して生かそう」という苦渋の選択により、認められるものなのです。
 しかし実際は、避妊をしないいい加減な男女関係の結果、未だ生まれぬ罪なき子供が犠牲になっている、そのような場合の方が多いでしょう。
 優生学は、このような、極めて危険な側面を持っているのです。

「病気を克服する」ための遺伝子操作は、「予防的治療」とも言えます。しかしそれを突き進めると、疾病の予防から抜け出し、「病気と直接関係はないが、<これが理想的>と思われている性質を与える・理想的な性質を持たないことを予防する」という、生命倫理上のグレーゾーンに突入して行くのです。

 小説版では、ナチュラル軍の提督が主人公の(ナチュラル軍と行動を共にする)コーディネイターの少年に「君のご両親は、何を願って遺伝子操作をしたのだろう」と漏らす一行があります。
「胎教」がはやったことがありました。生まれる前から教育し環境を整え、より頭の良い、よりセンスの良い子供にしたいという、親たちがとった行動ですね。

 いつの時代も親たちが持つであろう当たり前の願いと、遺伝子治療・遺伝子操作という手段を目の前にしたときに未来の親たちが取る行動と、何が違うのか? なにがいけないのか?

 これは、今もまだ解決していない、とても深い問題なのです。

 あなたが親になるときには、子供の遺伝子を操作できるようになっているかも知れません。
 もし、あなたが親になるとき、そして今、あなたは、この問題をどう考えるでしょうか?

クオーレACCT合資会社 遺伝子治療・再生医療情報センター

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