遺伝子治療は、生命の営みの根幹である遺伝子を操作します。そのため、さまざまな倫理的問題が提起されています。
遺伝子治療では、どの細胞を治療するかは、非常に重要な問題です。
生物には大きく分けて「生殖細胞」と「体細胞」の2系列の細胞があります。特に先天性疾患の場合、卵子・精子・受精卵の生殖細胞を遺伝子治療すれば、子供が健康体で生まれる期待があります。しかし、その遺伝子治療の結果は子孫にまで受け継がれます。
そのため、「生命を都合よく作り変えて良いのか」「生命の選別、障害者・病者への差別につながらないか」「子孫に遺伝子治療の結果が遺伝した時、問題が生じないか」という倫理的問題が大きく、実施は見送られています。
体細胞は、体を作る細胞です。これを遺伝子治療しても、子孫に遺伝子治療の結果が遺伝することはありません。
そこで現在全ての遺伝子治療は、体細胞つまり病変を起こした細胞、または強化したいリンパ球などの細胞に対して行われています。
しかし体細胞に対する遺伝子治療も、例えば悪くなった組織・器官を治療したら老化しない・若返る・不老不死になるのではないか? といった問題も提起されています。
遺伝子治療は生命の根幹から治療し、場合によっては生命のあり方さえ変えてしまいかねないものだけに、常に科学的・倫理的検討と、何より「いのちに対する真摯な思い」が必要なのです。
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