遺伝子治療が実現するためには、絶対条件として、対象となる疾患の原因となる遺伝子が特定され、その遺伝子情報が解読され、複製可能になっていなければなりません。この一連の研究・作業は「遺伝子クローニング」と呼ばれます。これは基礎研究として、大学や研究機関、企業などで行われます。
遺伝子が解明され、その疾患に対して遺伝子治療のニーズがあれば、研究者はまず、培養細胞やマウス、ラットなどの実験動物で遺伝子治療の研究を行います。ここで、遺伝子治療の有効性・成功の可能性と最低限の危険性・副作用が調査されます。ここまでの基礎研究には、5年10年という時間が必要です。
動物での研究ののち、はじめてヒトに対する遺伝子治療臨床研究の計画が立案されます。
遺伝子治療はまだ研究途上の「実験的治療」であるため、本邦では「臨床研究」として治験段階となっています。つまり、効果が保証された確立された治療法では、ありません。
「遺伝子治療臨床研究」が実現するまでには、本邦の場合、実施計画について所属機関、多くは大学医学部の倫理委員会での審査を受け、次に厚生労働省と文部科学省の各倫理委員会での審査が行われた後に承認されます。
この手続きに、以前は2,3年かかっていましたが、最近は1年未満にまで短縮されてきたようです。
事前の準備、対象患者選択の進捗にもよりますが、認可から数ヶ月〜で臨床研究が開始されます。
もちろん遺伝子治療臨床研究を受ける患者は、遺伝子治療に不安や疑問を感じれば、臨床実験を中止して通常の治療に切り替えることも、また通常の治療を併用することもできます。患者はボランティアとして最新の実験的治療に参加する一方で、その権利は厳密に確保されています。
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調製されたベクターは、病原性が無いことを厳重にチェックされ、初めて臨床に送り出されます。これらの過程は、通常の医薬品同様のGMP基準に基くようになってきており、安全性・信頼性は厳重に管理されています。
上記のようにして作られたベクターは、アンプル等に詰め、冷凍する等により保存されます。基本的にはその扱いは、管理が厳重である以外には通常の医薬品と変わりません。ただし、万一周囲の環境に不用意にベクターがばら撒かれることがないよう、その管理に際しては細心の注意が払われています。
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