遺伝子が直接に関与する疾患、つまり遺伝病を含む遺伝子疾患は4000種類前後と言われています。また、例えば肥満や糖尿病のように、生活習慣がより大きく関与するが遺伝子も関与する部分がある疾患もあります。
しかし、遺伝子治療はそれら全ての疾患に有用とは、現在は考えられていません。
遺伝子治療がもっとも有益かつ不可欠と考えられているのは、ADA欠損症のような、先天的に遺伝子が無かったり変異しているタイプの疾患です。
これらの疾患は、必要な遺伝子を補えれば、治癒できる可能性が高いと考えられています。
特に、重篤で、治療法が無いか、治療の負担が期間的・経済的に極めて大きい遺伝子疾患は、遺伝子治療の必然的適応と言っても良いでしょう。
現在の医学、通常の治療ではもはや奏効しない場合も、遺伝子治療の対象となります。進行癌や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病がこの場合に当てはまります。
こちらは、相対的適応と言うべきで、原理的にはやや困難で、前述の先天性遺伝子疾患より治療効果への期待はやや薄くなります。しかし患者数としては先天性疾患より桁違いに多く遺伝子治療への期待も大きいため、研究者側もそれに応えています。
例えば肥満や糖尿病など、十分効果がある治療法がある場合は、遺伝子治療は不適当で、最後の選択肢になります。
また、禿げ、わきが、尋常性白斑など生命に直接関係しない身体的問題は、遺伝子治療の適応では無いと考えられます。これらは他に治療法があり、また生命に別状ありません。このような場合は、遺伝子治療を実現するために必要なさまざまなコスト(医療・社会側の負担)と副作用などのリスク(本人の負担)を考えれば、遺伝子治療は不適当なのです。
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