私達の体を造る全ての細胞の中には、「DNA」そして「遺伝子」があります。近年、様々な疾患に遺伝子が直接・間接に関係していることが分かってきました。
そこで、遺伝子を「薬」として使い疾患を治療する方法が考えられました。それが「遺伝子治療」です。
世界初の遺伝子治療は、1990年に米国で先天性代謝疾患のADA欠損症(重症の免疫不全を起こす)の患児に行われました。国内では1995年以来、ADA欠損症、何種かの癌などに対して、実験的に実施されています。
| 日本国内での遺伝子治療臨床研究の実施実績(2003.3月現在) | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 承認年 | 対象疾患 | 実施施設 | 実施例数 | 治療戦略 | 概要 |
| 1995年2月 | ADA欠損症 | 北海道大学医学部 | 1 | 遺伝子補充による機能正常化 | 患児のTリンパ球を体外に取り出し、ADA遺伝子をウイルス・ベクターで導入後、患児にリンパ球移植し免疫を再建 |
| 1998年8月 | 腎細胞癌 | 東京大学医科学研究所 | 3 | 癌ワクチン/免疫増強 | 患者の癌細胞を体外に取り出し顆粒球マクロファージ刺激因子GM-CSF遺伝子をウイルス・ベクターで導入後、患者に接種しワクチン効果を期待 |
| 1998年 | AIDS | 熊本大学医学部 | ベクターの病原性が疑われ中止、実施せず | ||
| 1998年10月 | 非小細胞肺癌 | 岡山大学医学部 | 5 | 遺伝子補充による機能正常化 | ウイルス・ベクターに癌抑制遺伝子p53を搭載し、腫瘍に局所注射し抗癌効果を期待 |
| 1999年5月 | 食道癌 | 千葉大学医学部 | 1 | 遺伝子補充による機能正常化 | ウイルス・ベクターに癌抑制遺伝子p53を搭載し、腫瘍に局所注射し抗癌効果を期待 |
| 2000年1月 | 脳腫瘍 | 名古屋大学医学部 | 1 | 免疫増強 | リポソーム・ベクターにインターフェロン遺伝子を搭載し、腫瘍に局所注射し抗癌効果を期待 |
| 2000年1月 | 非小細胞肺癌 | 東京慈恵会医科大学医学部 東北大学医学部 東京医科大学医学部 | 7 | 遺伝子補充による機能正常化 | 1998年岡山大の臨床研究と同じ内容 |
| 2000年2月 | 乳癌 | 癌研究会 | 1 | 薬剤耐性の付与 | 患者の造血幹細胞を体外に取り出しヒト多剤耐性遺伝子mdr1をウイルスベクターで導入後、患者に骨髄移植し抗癌剤の副作用軽減を期待 |
| 2000年 | 筋ジストロフィー | 神戸大学医学部 | 中止、実施せず(詳細不明) | ||
| 2000年6月 | 前立腺癌 | 岡山大学医学部 | 1 | プロドラッグ(薬剤前駆体)による癌細胞自殺 | ウイルス・ベクターに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子hsv-tkを搭載し、腫瘍に局所注射しアシクロビル/ガンシクロビル(本来は抗ウイルス剤だが抗癌剤として使用)の効果増強を期待 |
| 2001年5月 | 慢性閉塞性動脈硬化症(ASO,Burger病) | 大阪大学医学部 | 22 | 血管再生 | プラスミド・ベクターにヒト肝細胞増殖因子HGF遺伝子を搭載し、患部(下腿)に局所注射。側副血行路の再建を認めた |
| 2002年 | 神経膠芽腫 | 東京大学医科学研究所 | 準備中 | ||
| 2002年 | 骨髄移植後GVHD予防 | 筑波大学医学部 | 準備中 | ||
| 計 | 8疾患 | 42例 | 実施 | ||
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