神経難病の経過と問題点
Update: 27 Feb. 2002

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経過
- 数年から10年〜の間に、徐々に手足など体を次第に思うように動かせなくなり、重症の場合はほぼ完全にマヒします。
- 徐々にセルフケア(食事・排泄・入浴など身の回りの始末)や会話などが困難になり、最終的には寝たきりになります。
- シャイ・ドレーガー症候群や脊髄小脳変性症の一部の型など、自律神経の障害が強い疾患の場合は、マヒというより、起きたり座ったり身体を動かすときの血圧調節ができなくなる(極めて強い立ちくらみの状態になる)ために、動けなくなります。
- 神経難病患者は運動機能障害者(肢体障害者)、コミュニケーション障害者という側面を持つことになります。したがって、それら障害克服のための様々な手段・制度を活用することが、より良く生きるために重要です。
- 重症化する例では、食物などの飲み込み(嚥下)、呼吸、会話などの機能も次第に障害されます。
- ただし、嚥下、呼吸、会話が障害されても、予後に即時に影響するわけではありません。四肢の機能の一部が残ることもあります。
- 呼吸が障害された場合は気管切開(喉に穴を開けて直接気管に空気が入るようにする)や人工呼吸器の装着、嚥下障害の場合は鼻腔または腹壁からチューブを入れての栄養剤による栄養、などの医療処置により、人格を保ったまま生存することが可能です。
- 会話が障害された場合、その原因によって様々な解決法があります。特にパソコンとインターネットを使い、自在にコミュニケーションしたり在宅で仕事をする方も出てきています。
- 基本的に、知的機能・精神機能そして人格は正常のまま保たれます。
- 身体が動かない分、より精神的・知的に成熟・洗練される場合もあります。例、宇宙物理学者のホーキング博士。
- 一部の神経難病を除き、神経難病自体により痴呆や精神・知的機能の低下が起こることはごく稀です。
- 重症化した場合でも、知的労働や知的活動は、パソコンを利用したコミュニケーション機器、その他手段の利用などにより充分可能です。
- 神経難病ではない脳血管障害(脳卒中)やアルツハイマー病、うつ病などを発症し痴呆や精神機能障害を起こすことはあり得ます。これは普通の方と同様です。
問題点
- QOL(Quality Of Life: 生活の質)の低下と精神的苦痛
- 手足の自由が効かなくなり、または寝たきりとなるため、仕事や遊びなどの普通の生活が次第に困難になります。
- 重症例では食事や会話も困難になり、人間としての最低限の楽しみ・活動も困難になります。
- 普通の病気と違い、現在は治癒・回復の望みが少なく、上記の状態が永続します。
- 特に人工呼吸器を装着した場合や、病状の進行が自覚できるほど早い場合など、将来や死への不安が生じます。
- 経済的問題
- 神経難病による障害のため、就業困難となります。
- 入院の場合、半年以上の長期に渡ることもあるため、神経難病の医療費公費負担制度が負担しない差額ベッド代などが大きな負担になります。
- 在宅療養の場合、訪問看護や訪問診療(特に医師の「お車代」)が経済的負担となります。
- 特に独居や家族が日中は居ない日中独居の場合、障害者認定が受けられていない場合、ヘルパーなどが自費負担になり、かなり高額になる場合があります。
- 人工呼吸器や吸引などの医療が必要な場合、かなり大量に使用するガーゼや消毒薬などが自費負担になることがあります。
※本来はガーゼ等は健康保険で負担するのですが、在宅の場合、保険で賄い切れない場合があるためです。
- 在宅療養での介護負担
- 重症化した場合や高齢の患者さんの場合、24時間に渡る介護が必要になる場合もあります。ただし、必ずしも「連続」した介護が必要ではなく、一日に何回か時間を決めて介護できる場合もあります。
- 人工呼吸器や吸引などの医療処置がある場合、専門的な知識・技術をある程度身に付ける必要性があります。
- 嚥下に障害がある場合、流動食など、食事を家族と別途に用意する必要が生じます。また食事の介助に時間がかかる場合もあります。
- 経過が年単位と長く、また基本的には徐々に悪化するため、介護が長期化します。
文:五十嵐 直敬/クオーレACCT合資会社 クオーレ難病・ホスピス・訪問看護研究所 主任相談員:保健師・看護師

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